アルバイト・パートのトラブル相談Q&A (トラブル相談シリーズ)

ロア・ユナイテッド法律事務所といえば、経営者側の弁護士事務所というイメージが強いのだが、本書においては、一般的なトラブル事例について労働者として認められる権利とその行使の方法について記載されており、経営者の言いなりにならないよう正しい知識が一通り得られるようになっている。とはいえ、休憩時間中に一定の作業に従事させられたりした場合でも、当該休憩時間が当然に労働時間としてカウントされるわけではありません（124頁、コンビニバイトの休憩がモニタ監視等で実質とれないことへの言及は？）、深夜のコンビニ勤務に複数人を配置しなければならないという決まりはありません（127頁、安全配慮義務は？）といった記述は、労働者権利保護の観点からは不十分と思われる。また、個人加盟の合同労組違法論（38頁以下）を持ち出すあたりは、完全に経営者視点になっている。本書は、「労働者の権利としては、（経営者側の弁護士でもこう言っているのだから）最低でもここまでは認められるべき」という視点で使われるべきかと思われる。