上手に待てができるかな (バーズコミックス ラブキスボーイズコレクション)

他の方のレビューに年上の“受け”の性格についての批評が語られていますが、私もまさに同じ事を思いながら読んでいました。19歳の元気いっぱい年下ワンコ攻め君は確かに可愛くて応援したくなるキャラクターですが、最後に職業名が明かされても不思議なほどの経済力を持つ受けの人物像が、場面場面で印象が違うほど定まっていないと感じ、感情移入できませんでした。二十歳になるまで待てと攻めに言った自分の方が欲情して持てない……ぐらいはまだ分かりますが、幻滅されたくないと言いつつも自分では何の努力もせずに好き勝手に振る舞い、攻めが一喜一憂する様に一人で悦に入っては事情痛の従弟に惚気け、若い男に溺れきっている自称“おじさん”が、相手には好きだという愛情表現を散々もらっているのに自分は全く返さず、攻めを便利な家政婦＋ペット＋年下扱いをして自分だけが楽しんでいる状態のいい歳をした大人です。作中見ていれば分かりますが、生活能力だけでなく人間力からしても、若輩の攻め君の方がよほどレベルが上です。寧ろ、誰が見ても若くて元気で性格のいい攻め君をつなぎとめるために必死にならなければいけないのは、お金は持っているけど人の気持ちに疎い、自己愛に溢れたおじさんの受けの方です。コミックスの最後の方に十年後のイラストが載っていましたが、こんな好条件の攻めくんが10年後もこの人と付き合っているだろうかと疑問に思いました。(攻め君の情が深そうなので受けを捨てられない気はしますけれど……自己中すぎる受けに翻弄されて疲れてしまうのではないかと)受けの性格(キャラ)のブレだけでなく、不思議なほどの経済力も疑問過ぎましたし、BLはファンタジーといえども色々な点で腑に落ちない点の多い作品だなと思いました。